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これまでの歴史において人類は様々な病原体の脅威にさらされてきました。それらの正体は突如野生動物からヒトにもたらさた細菌やウイルスであり、時には健康上の大きな被害を招き、時には家畜や野生動物に流行を起こし大きな経済的損失を生みました。医療が進んだ現代でさえ多くのウイルス感染症は未だ克服されておらず、そのうえ新興・再興ウイルス感染症は現在も様々な地域で発生しています。したがってこれからも人類とウイルスとの戦いは長く続くと言っても過言ではありません。
我々はこれまで人類および家畜・野生動物に大きな被害をもたらしてきたRNAウイルスの一科であるパラミクソウイルスに焦点を当て、それらが生体内でどのように疾病を引き起こすのか様々な側面から研究を行っています。またそれによって得られた知見や独自に開発した組み換えウイルス作出系を駆使し、様々な感染症に対する予防・治療法の開発を行っています。
また我々は研究の途上で、昨今新たながん治療の手法として注目を集めている腫瘍溶解ウイルスとして理想的な性状を持つウイルスを見出すことができ、その応用的な開発にも取り組んでいます。
甲斐 知惠子
